土・日も診療しております。

乳がんQ&A・院長コラム

授乳中に乳腺炎になりました。どうしたらいいの?

2010/10/08(金)

むらたクリニックは乳癌や乳腺のしこりの患者様以外にも様々な女性に受診していただいています。授乳中に乳腺炎を起こしたおかあさんも多く受診されます。突発する悪寒・戦慄を伴う高熱(39〜40℃)、強い乳房痛、真っ赤に腫れた乳房などを主訴に。これらの症状の程度は様々ですが、授乳中に痛みを感じられたら早目の受診をお勧めします。診断は経過や症状から比較的容易に判断できます。ポイントは乳房の中に脂肪や乳腺組織が壊れて溶けた“膿瘍のようなもの” がないか?です。その有無は超音波検査ですぐにわかります。もし膿瘍のような、どろっとした液体のたまりがあるときには局所麻酔をして、やわらかい針で除去したり、きれいな水で洗浄したりしない限り、治癒はまず!ありえません。消炎鎮痛剤や抗生物質はまったく無効です!このようなたまりがなければ、桶谷式乳房マッサージ(八代市内には認定を受けておられる増田美奈子先生がいらっしゃいます。当クリニックを受診される乳腺炎のおかあさんの大半は増田先生からの御紹介です。ますだ母乳育児相談室助産院 TEL:0965-33-8758、 木曜・日曜・祭日はお休みです。)と内服薬(葛根湯・消炎酵素剤)で必ず治ります。授乳中ではない方の乳腺炎も同様に対処しますが、授乳中と異なり抗生物質が効くこともあります(もちろんマッサージは不要です)。お悩みの方は気兼ねなく受診されますようお勧めいたします。

マンモグラフィーを撮影した際の被爆は問題ないの? 

2010/10/08(金)

被爆の影響には「ある値以上を浴びると障害が起こる」という確定的影響があります。人間の体の大部分の組織は一年当たり約0.5Gy(Gyはグレイと呼ぶ吸収線量の単位です)までが許容されます。放射線に敏感な生殖腺では、短期間に2.5〜6Gyの被爆で女性が永久不妊になります。他に、水晶体の混濁は2〜10Gy、子宮内胎児は0.1Gyで影響を受けます。さてマンモグラフィー検診での吸収線量はいくつかと言いますと、1〜3ミリグレイです。すなわち、0.001〜0.003Gyになります。一年当たりに許容される0.5Gyの数百分の一ぐらいしかないのです。また、主に放射線の危険性は実効線量Sv、シーベルトという単位でも語るのですが、これだと0.05〜0.15ミリシーベルトとなります。我々は地球上に住んでいて、宇宙や大地から自然放射線を浴びているのですが、その量は一年間で約2.4ミリシーベルトですから、マンモグラフィーでの被爆はその数十分の一と極めて微量ということになりますね。その一方でマンモグラフィー検診の恩恵は計り知れないのですから安心して検診をお受けくださ〜い!

線維腺腫と言われました。切除しなければいけないの?

2010/10/08(金)

線維腺腫は二十歳前後から四十歳ぐらいにかけて見られる良性腫瘍で、乳腺外来では頻度が高い疾患のひとつです。正確には腫瘍ではなく過形成であり、病変の起源が複数の細胞からなっていて、腫瘍のように起源となる細胞が1つではありません。それを裏付けるように2〜3cmの大きさで成長が止まり、徐々に自然退縮することが知られています。現に四十代後半ではほとんど見かけません。しかし、時には著しく大きくなることもあり巨大線維腺腫と呼ばれます。また、超音波検査などで似たような所見を呈する‘葉状腫瘍’も巨大化したり、悪性だったりしますので注意を要します。よって、線維腺腫を疑ったときには、まず針生検を行って線維腺腫であることを確定させて3cmまでは経過観察とし、3cmを超えて大きくなるようであれば外来にて局所麻酔で切除する方針としています。マンモトームという吸引を掛けて乳腺組織を太く切り取ることが可能な検査装置を持っておられる施設では小さな傷から線維線腫全体を切り取ったりもしています(この装置はかなり高価ですので、貧乏なむらたクリニックにはありません、残ね〜ん)。

「生きがい」持った女性の乳癌罹患危険度は0.57倍!

2010/10/08(金)

約35000人の40〜79歳の女性を7年以上追跡し検討した結果です(約11万人が参加する文部科学省助成の大規模コホート研究JACCの一部)。調査では食生活や運動、妊娠回数などの背景調査のほか、‘生きがい"や張り、ストレスの有無などを聞いています。調査中に同定された乳癌患者は149例でした。「生きがい・張りを持って生活しているか?」の質問に「生きがいがあるとは、はっきり言えない」と答えた女性が乳癌になる危険度を1とすると、「普通」と答えた女性の危険度は0.91、「生きがいがある」は0.60、「非常にある」と答えた方はなんと0.57!でした。人生に肯定的な考え方をする女性ほど乳癌になりにくい傾向が明らかですね。他に、物事の判断が早い女性や生まれ変わってももう一度同じ人生を歩みたいと強く思う女性で危険度が低いという結果も出ています。笑いが免疫力を増すように人生への充実感と言った心理的要因も同じような発癌抑制効果をもたらすのですね。しかし、生きがいがありありの女性もマンモグラフィー検診を受けなければいけないことには変わりありませんから〜!!!

ステージStage=病期ってなに?

2010/10/08(金)

いま、テレビで‘5年生存率87%、ステージ"なる怪しげな番組が放映されていますね。
みなさまもご覧でしょうか?種々の癌の大半にTNM分類という癌の進行度=病期を表す手段があります。Tは腫瘍の大きさ、Nはリンパ節転移の状況、Mは遠隔転移の有無を意味します。頻繁にその内容が変わるので便利なようで厄介な?分類です。確かにステージが上がるにつれて、生存率が低下します(乳癌には0期からIV期まであります)。乳癌ではリンパ節転移があったと言うだけでステージIIA以上になるのですが、ここに落とし穴があるのです。図を見ていただくと一目瞭然、乳癌はリンパ節転移の有無だけではなく、その数が非常に重要なのです。数が多いほど生存率が悪化する事実がよくわかりますね。それも日米共通の事実です。しかし、TNM分類では1個も10個も同じステージになってしまいます。現実はまったく異なりますので乳癌ではテレビのようにステージで語るのではなく、リンパ節転移の数がまずは重要なのです(リンパ節転移は有力な予後因子とされています)。しかも、乳癌では5年生存率ではなく10年生存率で表すのが常識です。医学に絡むテレビ番組の大半がまちがいだらけなのはなぜなのでしょうね〜。ちなみに私は医師が主役の番組は一切見ませ〜ん!嘘の多さにうんざりするからです。

乳癌になったらもう子どもは産めないの?の新知見

2010/10/08(金)

2003年のCancerという格の高い学会誌に質の良い論文が載っていましたので、ご紹介いたします(Cancer 2003, 98: 1131−1140)。乳癌の診断・治療の後に出産を経験した45歳未満の女性438例を同定し、次に、乳癌の診断後に出産を経験しなかった45歳未満の女性の中から前述の438例と諸条件が一致する対照群2775例を同定して死亡率を比較検討しています。その結果、乳癌診断後10ヶ月またはそれ以降に出産を経験した女性では、対照群に比較して死亡の危険性が46%も低いことがわかりました。また、乳癌診断時に妊娠中であった女性の死亡の危険性は対照群と同じでした。これらの結果から乳癌診断時や診断後の妊娠は生命予後に影響しないと考えてよいと思います。ただ、死亡率の低下のために乳癌の診断・治療後には妊娠した方が良い!という解釈までには至らないと考えます。

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